BCP未策定減算とは?減算率・対象・回避方法を解説【2026年最新】

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BCP未策定減算(業務継続計画未策定減算)は、2025年4月に経過措置が終了し、現在は訪問系・居宅介護支援を含む対象の全サービスに適用されています。減算率は施設・居住系サービスで基本報酬の3%、その他のサービスで1%。「まだ大丈夫」の期間は、すでに終わっています。

本記事は、介護施設・障害福祉サービス・訪問看護の施設長・管理者・防災担当者向けに、減算の対象・金額の目安・今からでも間に合う回避手順・届出と遡及のリスクまでを、元消防局員×救急救命士×看護師の防災コンサルタントが2026年7月時点の情報で解説します。

BCP未策定減算とは?2026年現在の制度を1分で理解

BCP未策定減算(業務継続計画未策定減算)とは、感染症または自然災害の業務継続計画(BCP)を策定していない場合や、計画に沿った必要な措置を講じていない場合に、介護報酬・障害福祉サービス等報酬の基本報酬が減算される制度です。減算率は施設・居住系サービスで所定単位数の3%、その他のサービスで1%。令和6年度(2024年度)介護報酬改定で新設され、経過措置は2025年3月31日で終了、2026年7月現在は対象の全サービスに適用されています。

なお、厚生労働省の単位数表では「業務継続計画未実施減算」という表記も使われますが、同じ制度を指します。

なぜ減算が導入されたのか(2021年義務化と策定率の低迷)

BCPの策定自体は、令和3年度(2021年度)介護報酬改定ですべての介護サービス事業者に義務化されました。3年間の経過措置を経て、2024年4月1日からは完全義務化されています。

それでも策定は進まず、厚生労働省の調査(令和5年度介護報酬改定検証・研究調査・2023年7月時点)では、策定を「完了」した事業所は感染症BCPで29.5%、自然災害BCPで27.0%と、いずれも3割前後にとどまっていました(「策定中」を含めると8割超)。「義務化しても作られない」状況を受けて導入された経済的なペナルティが、BCP未策定減算です。

減算の算定要件は2つ——研修・訓練の未実施は要件外

減算の算定要件は、厚生労働省のQ&A(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1・問164)で次の2点とされています。

  1. 感染症もしくは災害のいずれか、または両方の業務継続計画が未策定であること
  2. 当該業務継続計画に従い必要な措置(体制整備・備蓄など)が講じられていないこと

つまり、研修・訓練・周知・定期的な見直しの未実施は、減算の算定要件ではありません。ここは誤解の多いポイントです。

⚠ 注意「減算されない=やらなくていい」ではありません。研修・訓練・周知・定期的な見直しは運営基準上の義務であり、未実施は運営指導(実地指導)での指導対象です。減算要件と運営基準義務は分けて理解してください(何をどこまでやるべきかは後半のSTEP4で解説します)。

いつから?対象サービスと減算率一覧【介護・障害福祉横断】

結論から言うと、施行は3段階で進み、2025年4月1日に経過措置がすべて終了して、現在は対象の全サービスに適用されています。

施行時期対象サービス
2024年4月通所系・短期入所系・特定施設・グループホーム・施設系(特養・老健等)など ※2025年3月31日まで経過措置あり
2024年6月通所リハビリテーション・予防通所リハ ※同上
2025年4月訪問介護・訪問入浴・訪問看護・訪問リハ・福祉用具貸与・定期巡回・夜間対応・居宅介護支援・介護予防支援など

経過措置(「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」の整備と「非常災害に関する具体的計画」の策定があれば減算を適用しない扱い)は2025年3月31日で終了しました。「指針と消防計画があるから大丈夫」は、もう通用しません。

介護保険サービスの減算率一覧(施設・居住系3%/その他1%)

減算率主なサービス
所定単位数の3%特別養護老人ホーム・老健・介護医療院などの施設系、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、短期入所系
所定単位数の1%訪問介護・訪問看護・訪問リハ・通所介護・通所リハ・福祉用具貸与・居宅介護支援など上記以外のサービス

厚生労働省の資料では、1%対象のサービスで平均7単位程度/日・回の減算になると示されています。

障害福祉サービス(児発・放デイ・GH等)の減算率一覧

障害福祉サービス等報酬でも、令和6年度報酬改定で同様の減算が新設されています。

減算率主なサービス
3%療養介護、施設入所支援(障害者支援施設)、共同生活援助(グループホーム)、宿泊型自立訓練、障害児入所施設
1%居宅介護、生活介護、就労移行支援、就労継続支援、児童発達支援、放課後等デイサービスなどその他のサービス

減算対象外のサービスと例外

  • 恒久的な適用除外(介護保険):居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導・特定福祉用具販売・特定介護予防福祉用具販売の4サービス
  • 例外(障害福祉):就労選択支援のみ2027年(令和9年)3月31日まで減算を適用しない

医療保険の訪問看護に減算はある?

医療保険の訪問看護療養費には、BCP未策定減算はありません(2026年度診療報酬改定後も設けられていません)。減算があるのは介護保険の訪問看護費(1%・2025年4月から適用)です。訪問看護ステーションは、介護保険請求分が減算対象になる点を押さえてください。

💡 この章の要点

  • 経過措置は2025年3月31日で終了。現在は対象の全サービスに適用済み
  • 減算率は施設・居住系3%/その他1%(介護保険・障害福祉とも同じ構造)
  • 適用除外は居宅療養管理指導・特定福祉用具販売など4サービスのみ。医療保険の訪問看護には減算なし

いくら減る?施設規模別の減算額シミュレーション

「1%・3%」と聞くと小さく感じますが、基本報酬全体にかかるため金額は決して小さくありません。代表的な類型で試算してみます(基本報酬月額ベースの概算。地域単価・加算構成により変動します)。

類型(減算率)基本報酬月額の仮定減算額/月減算額/年
特養50床(3%)1,000万円30万円360万円
グループホーム2ユニット(3%)500万円15万円180万円
通所介護・通常規模(1%)400万円4万円48万円
訪問看護ステーション・介護保険分(1%)300万円3万円36万円
障害者グループホーム(3%)400万円12万円144万円

年間にすると、施設系では職員1人分の人件費に匹敵する規模です。しかも減算は「策定するまで」続きます。

減算期間はいつからいつまで?

減算は、基準を満たさない事実が生じた月の翌月(事実が生じた日が月の初日の場合はその月)から、基準を満たさない状況が解消された月まで、事業所の利用者全員に適用されます(令和6年3月15日改正の留意事項通知)。つまり、いま未策定なら、策定と届出を済ませるまで毎月確実に減り続けます。

あなたの施設は、夜間の人員で入居者を守り切れますか?

減算を回避しても、BCPが「夜間に機能しない紙」では意味がありません。夜間の職員数と入居者数を入れるだけで、避難体制のリスクを1分で判定できます。

所要約1分/入力内容が送信されることはありません

減算を回避する5つのステップ【今からでも間に合う】

減算を受けない(止める)ために必要なことは、突き詰めると次の5ステップです。厚労省のひな形を活用した集中作業なら、体制づくりは最短2〜4週間が目安です(施設規模・合議体制により変動します)。

STEP1 感染症・自然災害の両方のBCPを策定する

減算要件は「いずれか又は両方が未策定」。片方だけでは足りません。厚生労働省がサービス類型別(入所系・通所系・訪問系)のひな形とガイドラインを無料公開しており、これを埋める形が最短です。小規模事業所は、事業所間連携による策定も認められています。

STEP2 計画に沿った「必要な措置」を実施する(備蓄・体制)

策定だけでは要件を満たしません。計画に書いた体制整備と備蓄——水・食料・燃料・個人防護具・消毒液など——を実際に講じている必要があります。「計画には7日分と書いたが実在庫は2日分」は、運営指導で最も突かれるギャップです。

STEP3 指定権者に「基準型」の体制届を提出する

策定・措置が整ったら、指定権者(都道府県・市町村)への体制届(介護給付費算定に係る体制等に関する届出書・体制等状況一覧表)で「基準型」を届け出ます。2026年度以降は、新規指定時・体制変更時の提出が基本です。なお、居宅介護支援・介護予防支援は届出不要ですが、減算制度の対象ではあります。

STEP4 研修・訓練を実施し記録を残す

研修・訓練は減算の算定要件ではありませんが、運営基準上の義務です。解釈通知(老企第25号・第43号等)では、施設系(入所系)は研修・訓練とも年2回以上(新規採用時の研修も別途実施)、訪問系・通所系などその他のサービスは年1回以上の定期実施が求められています。感染症BCPの研修・訓練は、感染症の予防・まん延防止のための研修・訓練と一体的に実施しても差し支えないとされています。実施したら日時・参加者・内容・振り返りの記録を必ず残してください。運営指導ではこの記録が確認されます。

研修の教材には、厚生労働省の公式研修動画が使えます。

  • 2021年版・全10本(総論〜サービス類型別の解説)
  • 2024年版・BCP作成編4本+机上訓練編4本(入所系・通所系・訪問系・居宅介護支援系)

「何から始めればいいか分からない」場合は、まずこの動画を委員会で視聴し、感想と自施設の課題を記録に残すところから始められます。

STEP5 年1回以上の見直しで形骸化を防ぐ

BCPは作って終わりではなく、定期的な見直しが義務です。人員体制・入居者構成・ハザード情報が変わるたびに、計画とのズレが生まれます。訓練で見つかった課題を反映する「訓練→見直し」のサイクルを年間予定に組み込んでください。

届出と遡及のリスク——「基準型」を出さないと何が起きるか

減算まわりで実務上つまずきやすいのが、届出と遡及です。リスクは3つあります。

「基準型」「減算型」とは——届出がないと減算型とみなされる

体制届では、要件を満たす事業所が「基準型」、満たさない事業所が「減算型」として扱われます。要件を満たしていても届出がなければ「減算型」とみなされ、減算せずに請求すると国保連の審査で返戻(エラー)になるおそれがあります。策定済みなのに減算扱い——これが最ももったいないパターンです。

運営指導で発覚すると未策定の時点まで遡って返還

運営指導(実地指導)で未策定が発覚した場合、減算は発覚時点からではなく、「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡って適用されます(厚労省Q&A問166)。例えば通所介護なら2024年4月分まで、訪問介護なら2025年4月分まで遡及し得ます。数年分の基本報酬3%の返還は、経営に直結する金額です。

減算せず請求していた場合は「過誤」手続きを

本来減算すべき期間に減算せず請求していたことが分かった場合は、速やかに過誤調整(返還)の手続きが必要です。放置して運営指導で指摘されるより、自主的に対応するほうが傷は浅く済みます。

⚠ 注意国は運営指導でBCPの集中的な確認を求めています。「バレなければ」は通用しない前提で、未策定なら今月中に着手を。すでに策定済みでも「基準型」の届出漏れがないか、指定権者への届出状況を一度確認してください。

そのBCP、実際に機能しますか?——元消防局員が見る3つの落とし穴

ここまでの手順で減算は回避できます。しかし、私たちが現場で施設のBCPを拝見すると、「届出は済んでいるが、災害時に機能しない計画」が非常に多いのが実情です。消防局員として災害・救急の現場に出てきた立場から、頻出する落とし穴を3つ挙げます。

落とし穴1 夜間・休日の人員で本当に対応できるか

BCPの避難計画は、日中の職員数を前提に書かれがちです。しかし火災も地震も夜間に起きます。夜勤2〜3名で、自力避難が難しい入居者数十名をどう動かすのか——この試算がないBCPは、最も重要な時間帯で機能しません。

落とし穴2 訓練が「読み合わせ」で終わっていないか

計画の読み合わせだけの訓練では、動線の詰まり・エレベーター停止・停電時の照明など、実際に体を動かして初めて分かる問題が見つかりません。年1回でも、夜間想定・設備停止想定を入れた実動訓練を行うと、BCPの穴が一気に可視化されます。

落とし穴3 備蓄・連絡網が紙の上だけになっていないか

備蓄リストと実在庫のズレ、退職者が残ったままの緊急連絡網、更新されていない参集基準。書類上は完璧でも、実態が伴わなければ運営指導での指導対象になり得ますし、何より災害時に職員と利用者を守れません。

1分でできる実効性セルフチェック

次の6項目のうち、1つでも「いいえ」があれば、あなたのBCPには実効性のリスクがあります。

  • 夜間の最少人数で、全入居者を安全な場所へ移動させる手順が具体的に書かれている
  • 直近1年以内に、夜間・休日想定の訓練(机上訓練含む)を実施した記録がある
  • 停電・断水・エレベーター停止を想定した代替手順がある
  • 備蓄リストと実在庫が一致している(数量・期限を年1回以上棚卸し)
  • 緊急連絡網が最新で、参集基準(誰が・どんな時に・どう動くか)が明文化されている
  • 感染症BCPと自然災害BCPの両方が、現在の体制・人員で更新されている

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より詳しい避難力の数値化・訓練支援については、サニーアライズのBCP実効性診断サービスをご覧ください。

BCP未策定減算に関するよくある質問

BCPを策定しないとどうなりますか?

基本報酬が減算されます(施設・居住系3%・その他1%)。またBCP策定は2024年4月から運営基準上の完全義務のため、減算に加えて運営指導での指導対象となり、改善されない場合はより重い行政指導につながるおそれもあります。

BCP未策定減算はいつからいつまで適用されますか?

基準を満たさない事実が生じた月の翌月(月の初日の場合はその月)から、解消された月まで適用されます。経過措置は2025年3月31日で終了しており、2026年7月現在は対象の全サービスに適用されています。

研修や訓練を実施していないと減算されますか?

いいえ。減算の算定要件は「BCPの未策定」と「計画に沿った必要な措置の未実施」の2点で、研修・訓練・周知・見直しの未実施は算定要件ではありません(厚労省Q&A問164)。ただし運営基準上の義務のため、未実施は運営指導での指導対象になります。

BCP研修は動画視聴でも認められますか?

厚生労働省がBCP研修用の公式動画(2021年版・2024年版)を公開しており、これを活用した研修は広く行われています。重要なのは、研修として実施した記録(日時・参加者・内容・振り返り)を残すことです。自施設の計画に引き付けた討議を組み合わせると、運営指導でも実質を説明しやすくなります。

運営指導で未策定が発覚した場合、減算はいつから適用されますか?

発覚時点ではなく、「基準を満たさない事実が生じた時点」まで遡って適用されます(厚労省Q&A問166)。通所介護なら2024年4月分まで、訪問介護なら2025年4月分まで遡及する可能性があります。

医療保険の訪問看護にもBCP未策定減算はありますか?

ありません。減算があるのは介護保険の訪問看護費(1%・2025年4月から)です。医療保険の訪問看護療養費には、2026年度診療報酬改定後も設けられていません。

まとめ

✓ この記事のまとめ

  • BCP未策定減算は2025年4月から全サービスに適用済み(施設・居住系3%/その他1%)。経過措置は終了している
  • 減算要件は「未策定」+「必要な措置の未実施」の2点。研修・訓練は要件外だが運営基準上の義務
  • 回避は「両BCP策定→措置の実施→基準型の届出→研修・訓練と記録→年1回の見直し」の5ステップ
  • 届出漏れは返戻、運営指導での発覚は未策定時点までの遡及返還につながる
  • 減算回避のその先——夜間に機能するBCPかが、利用者と職員を守る本当の分かれ目(2026年7月時点の情報に基づく)

「届出は済んだが、このBCPで本当に動けるのか不安」という方へ

元消防局員・救急救命士・看護師の視点で、貴施設のBCPの実効性を無料で診断します。訓練・策定支援は大阪・近畿中心、BCPのご相談はオンラインで全国対応しています。

お急ぎの方はお電話で 070-9445-5546(平日9:00〜17:00)

この記事の監修

奥野雅也(サニーアライズ代表)。元消防局員として災害・救急の現場を経験。救急救命士・看護師。介護・福祉施設の防災訓練・BCP策定支援と、避難力を数値化する「MTED診断」を提供。代表プロフィールを見る

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